沈黙と受容と感謝

好きな作品と人物について書く

感想など (2)

奇跡のリンゴ』(幻冬舎) 

 この本に関する感想を書く予定はなかったんだけど、本の出だしでいきなり登場した文章に目が釘付けになった。

 

 「危険、恐れ、痛み、不安などをなくしてほしいと願うのではなく、
  それらに耐えられる心の強さを願えますように。
  うまくいっているときにだけ感謝できるような人間ではなく、
  失意のときにあたえられている恵みに気づけて感謝できる人間でいられますように。」

 …みたいな感じの文章(上記は私の解釈)が書かれてあって、
 それを読んだときに「あ~、これは俺が好きなタイプの本かも。」と感じた。
 
 Amazonで調べ直してみると、
 「奇跡のリンゴ」関連の本で、
 タイトルが「宇宙の采配」や「見えないものを見る力」となっているものがあったりする。
 確かに、そっち系が好きな人にはそういうタイトルのほうが関心が向く。
 逆に、そっち系が苦手な人のために「奇跡のリンゴ」のような自然な言い回しのタイトルの本もあった。
 それぞれのタイプの人がどちらも楽しめるようにタイトルを工夫しているということか。私の中ではどっちもアリ。
 
 すごく読みやすい文章だったから、
 2時間くらいで120ページくらいは進んだかな。
 本を読むスピードの速い人から見ればそのペースは遅いのかもしれないけれど、
 本を読むのがめちゃくちゃ遅い私からしたら、それはかなりのハイスピード。
 数ページ読むのに数時間かかるときあるから。
 これ↑単純に捉えたら「理解力・読解力が足りないんじゃないの?」とツッコまれそう…
 そうじゃなくて(それもあるのかな?)、
 私の場合、文章の一つひとつから、これはどういう意味が含まれているのか、どういう解釈ができるだろうか、
 と、じっくり考え想像するクセがあるからどうしても読むのが遅くなる。

 

 さぁ、ここで登場してもらおう。
 『エチ先生と「銀の匙」の子どもたち 奇跡の教室』(幻冬舎)
 橋本先生は授業で教科書などは一切使わず、文庫本「銀の匙」1冊を3年間かけて使うらしい。
 文庫本のページが1ヶ月経っても2枚しか進んでいない状態のとき、
 ある生徒が発した「このペースだと200ページ終わらない」に対して、
 橋本先生が言った、
 「スピードが大事なんじゃない。すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる。速さを競っているわけではない。速読を教えているわけでもない。急いで読み進めていたからといって何が残るのか。引っかかったところ、関心を持ったところで、横道にそれていってほしい。そこでどんどん調べて自分の世界を広げていってほしい。」
 こんな感じのセリフが心に響いた。

 

 まさかここで「奇跡のリンゴ」と「奇跡の教室」がリンクするとは・・・。
 その2冊の本をたまたま私がむかし買って持っていたことと、
 その2冊の本をたまたま今このタイミングで読んだこと、
 すべてが偶然だけど、これは必然っぽい感じもする。

 

 本は読むタイミング、その時々の自分の経験値・年齢などによって、同じ本でも捉え方が変わってくる。
 以前は良書だと思っていた本を読み返しても全くそう感じないときもあるし、
 逆に前は何も感じなかった本でも読み返すと深い意味が含まれていることに気づいたりする。
 上記の2冊も読んだのが今の自分で良かった。今でないとたぶん読み取れなかっただろうなぁと感じた部分があったから。

 

 改めて「奇跡のリンゴ」を語るとするならば、
 思ってたよりも内容が濃かった。
 元々それほど期待していなかったからそれも良かったのかもしれない。
 
 人生、人間の努力だけでどうにもならないことを強引に変えようとすると無理や歪みが生じてくる。
 "ゆだねてみる=受容することが大切"
 というメッセージを読み取った。
 この本には、「受容」以外にも「忍耐」「感謝」「免疫」「感覚」など、様々なことに関して書かれてあった。学べる箇所が多かった。

 

 奈良岡希実子さんの"信条・モットー"である『七転び八起き』の内容・展開だったし、
 舞台も奈良岡さんの出身地・青森だから、きっとあの人が読んだら楽しめるはず。
 もう読破済かな?
 ブログやツイッター全部チェックしてないから知らんけど、どうなんやろか。